環境保護運動までの流れ
18世紀イギリスから始まった産業革命は、石炭、石油や天然ガスなどの化石燃料を地中から取り出して利用することにより莫大なエネルギーを使えるようになったことから工業の発展をもたらしました。同時にそれは人類が環境に多大な影響を与えるようになることの始まりでもありました。
化石燃料を燃やすときに排出されるCO2は今や地球上の全ての生物の生存を脅かすほどのところまで来ていますし、石油化学の発達によって人類が作り出したさまざまな化学物質は、高濃度で自然界に排出されることにより奇形生物が生まれてきたりといった影響をもたらしました。
日本においても高度成長期の工業発展と共にさまざまな影響が出てきました。「公害」という言葉が登場してきたのはこの頃からでしょうか。
四大公害病
1953年 (昭和28年)頃から,熊本県水俣湾周辺に集団的に発生してきた水俣病 。後に 、チッソ水俣工場の廃液中のメチル水銀が食物連鎖の過程で濃縮され、高度汚染された魚介類の多量摂食により発病にいたったことが判明。魚介類を摂取した母親の胎盤を通じて胎児にも影響を起こしました。
当初、熊本大学水俣病研究班は、原因物質は有機水銀だという発表しました。数ある有機水銀のうちのメチル水銀が原因であるという確証が得られなかったからであるが、すぐにこの物質がメチル水銀であったことが判明した。しかし初期のその曖昧な内容が、いろいろの反論を招き、それに対する反論作成の必要に迫られるなど、原因特定の遅れを招くことになった。
1968年(昭和43年)になってチッソはやっと水銀の排出をやめ、熊本県は1977年から水銀を含んだヘドロを埋め立てて封鎖する工事を行い水俣湾での封鎖海域の漁業は一切禁止されました。1997年熊本県は20年を経て、水俣湾の安全宣言を行いました。水俣湾の封鎖解除、裁判による責任関係の決着など一応の解決を見たのはつい最近である。
富山県の神通川の中流域で発生したイタイイタイ病はカドミウムという、重金属によって引き起こされた骨の病気です。骨が軟化して、体のあちこちで骨折し患者がいつも痛い痛いっと叫ぶので、この名が付けられました。カドミウムの汚染源は神通川上流の岐阜県神岡町にある三井金属鉱業神岡鉱業所でした。1920年代から発生していたと考えられますが、イタイイタイ病として注目されるようになったのは、1950年代の頃からです。
神岡鉱業所は亜鉛を製錬したあとにでるカドミウムを含んだ排水をそのまま神通川にながしていました。神通川の中流域では川の水をかんがい用水や飲料水として使っていたので、カドミウムが農作物や飲み水を通して体内に蓄積されていき、イタイイタイ病を引き起こしたのです。しかし、当時カドミウムという物質は良く知られていなかったために、原因究明は大変遅れてしまいました。地元の開業医らの努力によって、カドミウムが原因物質であることがつきとめられるまでには、長い年月がかかりました。
三井金属鉱業の対応に不満をもった被害者たちは、1968(昭和43)年、損害賠償を請求して訴訟を起こしました。その直後、国はついにイタイイタイ病の原因が神岡鉱山のカドミウムであることを認め、裁判も1971年に原告の勝訴となりました。カドミウムに汚染された農地を復元する作業も、鉱業所が工事費の35~39%を負担して、1980年からはじまりました。
第二水俣病は1965年に公害と確認されました。新潟県阿賀野川下流域で患者が発生し熊本県の水俣病と同様の症状が確認されたためにこの名があります。 原因は昭和電工鹿瀬工場でアセトアルデヒドを生産中に生成され、未処理のまま廃液として阿賀野川に排出されたメチル水銀が、川で獲れた魚介類の摂取を通じて人体に蓄積された事による中毒でした。
四日市ぜん息とは三重県四日市市で、コンビナートの操業活動等が本格化した昭和34~35年ごろから強いぜん息発作をもつ患者の発生がみられるようになりました。最もいおう酸化物濃度が高い、同市磯津地区から発生し、次第に周辺地区にも同様の訴えをもつ患者が出てきた。その解決まで
39年 厚生省によるばい煙等影響調査の実施から始まり
49年9月 補償法施行(被害者救済の拡充)まで10年の期間を要した。
以上が四大公害病と呼ばれるものですが、他にも自動車から排出される窒素酸化物が原因の光化学スモッグ、高速道や高速鉄道や飛行場周辺の騒音問題、水質汚濁、ダイオキシン類対策、アスベスト公害、工業用地下水くみ上げによる地盤沈下、等々工業発展と共にさまざまな種類の環境破壊が起きてきました。
日本ではそのつどいろいろな規制法案を策定し、都心の空気や東京湾の水質等以前よりはるかに改善されました。しかし全世界的に 今度は
「地球温暖化防止」という大きな宿題が持ち上がってきたのです。
国際的な環境保護法としては
絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)
水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)
移動性野生動物種の保全に関する条約(ボン条約)
生物の多様性に関する条約(生物多様性条約)
世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)
オゾン層の保護のためのウィーン条約 - モントリオール議定書
日米渡り鳥条約
国際捕鯨取締条約
北太平洋のオットセイの保存に関する暫定条約
世界自然憲章
環境と開発に関するリオ宣言
アジェンダ21
森林原則声明
などがあります。